「差別批判」がブラック企業を増長させる

「差別批判」がブラック企業を増長させる? 就職差別批判の黒い罠(今野晴貴) - 個人 - Yahoo!ニュース

一人でも多くの学生を大企業に送り込んで実績にしたい大学は、力の限りを尽くして「大企業を目指せ」と在学生をキャリア教育で煽り立ててきた。こうして皆が大企業を目指すようになっていった。
企業としては、すべての入社を希望する学生に対して面接をすることはコスト上不可能だ。だから、必然的に、大半の学生は面接にも進めずに落選していくことになる。
大企業ばかり何十社もエントリーした学生は、おとされる度に「自己否定」を繰り返さざるを得ず、次第に自尊心を傷つけられていく。
就職活動を行う中で、学生が「どんな条件でもいいから就職したい」という思考になり、ブラック企業へと誘い込まれている様子が明らかになった。
企業の採用にとって学歴は、あくまでも「最低ライン」のように機能しているだけで、基準を超える学歴保持者の間では、別の論理で選考される。
学歴以外にろくに「客観評価」の仕組みをもっていない日本の就活では、結果として、「全人格的競争」が行われることになるのだ。
「学歴フィルター」を批判する論者は、学歴をも超えて、すべての若者が「全力で企業に奉仕する姿勢をみせれば、大企業に入れるチャンスはあるはずだ」と煽るつもりなのだろうか。
「人格評価」は、評価する側が間違った使い方をすれば、大変な毒薬になる。そして、昨今の「ブラック企業問題」は、まさにそうした企業が日本に巣食っているからこそ、広がってきたのである。