女性の階層と就業選択

女性の階層と就業選択−階層と戦略の自由度の関係− ・・・・・・・・ 松田茂樹
http://ssjda.iss.u-tokyo.ac.jp/rps/RPS028.pdf



> 高学歴化と就業機会の拡大という趨勢にも関わらず,女性のキャリア構造にはまだ目立った変化は生じていない
> 女性の高学歴化は継続就業率の増大に結びついておらず,むしろ高学歴女性で結婚・出産退社後に復職する割合が低い
> 総合職女性でも継続就業志向は低く,大企業ほど結婚・出産退社が多い
> 学歴が高い者で復職の意向が高いわけではなく,初職の地位が高い者で復職者が多いという関係もみられない
> 女性自身が獲得した学歴や初職における階層的地位が,その後の本人のキャリア形成,言い換えれば就業上の地位達成に結びついていない



> 高階層の者でも,卒業時に就業継続を希望した場合に,実際に就業継続できる確率は1/2以下である
> 初職が専門職の者でも,その割合は40%に満たない
> 階層が高いほど戦略の自由度が高いといえるが,それは絶対的な自由度の大きさというよりも,むしろ女性内での相対的な自由度の大きさについてである



> 女性の社会進出の先頭にいる高階層女性は,いわゆるキャリア的な職業に就く者も多く,仕事の量・負荷とも多い
> <仕事専業>の者しか勤まらないような職業に就いているケースが多い
> そうした職業に就いた女性は,結婚・出産して家庭を持った場合に,時間的,体力的に仕事と家庭の両立ができずに離職していくケースが多くなっている



> 育児をしながら女性が仕事を続けることに対する障壁は依然として大きい.ファミリー・フレンドリー企業とは,育児休業制度、短時間勤務制度、所定外労働の免除など家庭生活と仕事の調和を支援する各種制度を整えている企業である.これらの制度は男女両方の社員を対象にしたものであるが,女性就労者がファミリー・フレンドリー度が高い企業に勤務することができれば,自らの家庭生活と仕事の両立は容易になる.したがって,ファミリー・フレンドリー度が高い企業に勤める者では,結婚・育児に関わらず就業継続しやすくなる