セーフティ・ネット

Harknett and Hartnett 2011, 「誰がなぜサポートを受けられないのか? 母親の私的セーフティ・ネットの検討」 | Theoretical Sociology
> どのような母親が相対的にしっかりとした私的セーフティ・ネット(以下では PSN と略称)を持っているのかを分析した論文
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> 下層の人の家族や友人も下層に属する場合が多いため、サポートしてあげるための資源(お金や時間、場所、等など)をあまり持っていない。そのせいで、下層ほど十分な私的サポートを受けられない
> 互酬性の原理のために、困難を抱えている母親ほどサポートを受けにくい。子供が重い病気にかかっているとか、母親自身が病気だったり、鬱だったりすると、助けは必要だが、その恩を返すことが難しい。返礼する能力が長期的に期待できない場合、互酬性の規範に違反することになるため、サポートが受けにくくなる
> 病気だったりすると、互酬性を抜きにしてサポートが与えられる可能性もあるが、分析結果からはまったくそのような傾向は見られない。病気である場合、通常よりも大きな負担や特殊な配慮が必要になるため、 PSN から子供に対するサポートを得るのが難しくなる
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> やりきれない結果であるが、PSN の階層間格差の意味を、仔細に分析したというところに価値がある